TAMAとは?

たかなし こずえ

モデルは、ルノワールやマネが描いた犬。狆(ちん)という日本の犬種です。

ルノワール作『TAMA』

ピエール=オーギュスト・ルノワール

《日本犬タマ》1876年

犬なのに「タマ」なんて、ちょっとモヤモヤしなくもないですが、「宝石」を意味する「珠(たま)」から名づけられたそうです。なるほど。飼い主はかなり日本通なのかもしれませんね。

TAMAの飼い主は、マネの知り合いのエンリコ・チェルヌスキというイタリア人。もともとはイタリアの政治家で、イタリア統一の革命にも参加した人物です。結果、敗北してフランスに亡命し、そこで銀行家として財を成しました。

そして1871年から1872年にかけて、チェルヌスキは世界旅行に出掛けます。そのときに東洋を訪れて東洋文化に魅了され、中国や日本などから美術工芸品をたくさん買い集め、パリに戻りました。

マネやルノワールはTAMAの絵を1875年と1876年に描いているので、TAMAの絵は、チェルヌスキが世界旅行からパリに戻った後に描かれたということが分かりますね。

ちなみに、チェルヌスキの当時の邸宅は今、パリ市営の《セルヌスキ美術館》となって一般開放されています。

チェルヌスキが中国や日本などから集めた美術工芸品を見ることができるので、興味のある方はぜひ行ってみてくださいね。

セルヌスキ美術館公式サイト

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このサイトでは、フランスの19世紀後半の画家たちに愛された、そんな日本犬TAMAをキャラクターにして、フランスの情報を発信します。

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