ルイ14世が〈太陽王〉と呼ばれた経緯とは?
フランスの世界遺産として有名なヴェルサイユ宮殿。造営させたルイ14世が〈太陽王〉と呼ばれたのはよく知られていますね。
ところで、なぜ〈太陽王〉なのでしょう。そして、いつからそう呼ばれるようになったのでしょうか。
実はそこにはちょっと意外な背景があります。
ルイ14世が〈太陽王〉になった日
ルイ14世といえば、❝朕は国家なり❞と言い切った王様だよね。絶対王政の頂点みたいな人だから、何となくのイメージで〈太陽〉の呼び名が付いたんじゃないの?
それが何となくじゃなくて、はっきりしたエピソードがあるのよ。
ルイ14世は、自身を太陽神アポロンになぞらえることを好みました。
そのきっかけになったのは、ルイ14世が15歳のときに開かれたイベント、『Ballet royal de la nuit(バレエ・ロワイヤル・ドゥ・ラ・ニュイ。夜の王室バレエ)』です。
このバレエにルイ14世も出演して、ギリシャ神話の太陽神アポロンの役を演じました。以来、ルイ14世自身も太陽神になぞらえられることを気に入ったそうです。
このバレエ演目は現代のバレエとは趣が違って、特にストーリーはなく、ギリシャ神話の神々や狼男、魔女、羊飼いやジプシー、盗賊が登場して踊るものだったそうです。
ルイ14世はバレエ愛好家
今でも続くクラシックバレエのおおもとを築いたのもルイ14世です。
バレエ自体はルネサンス期のイタリアが起源。それが1500年代半ばにフランスに伝わりました。
1550年にイタリアからやって来てアンリ2世の妃になったカトリーヌ・ドゥ・メディシスの功績です。
1643年にルイ14世が4歳で国王に即位したときにも、お祝いの席でバレエが上演されました。
以来、ルイ14世はバレエに魅せられて、自身もバレエを踊るようになりました。
『夜のバレエ』で太陽神を演じた後もバレエを熱心に励行。王立舞踊アカデミーを設立して、宮廷内の貴族たちにも踊らせたそうです。
太陽神アポロンって?
アポロンって、名前は聞いたことあるけど、どんな神様なの?
ギリシャ神話の神様で、太陽をつかさどっている以外にもいろんな力を持っているのよ。
アポロンは
- 音楽など芸能、芸術の神
- 羊飼いの守護神
- 人々の病を治す神
- 光明の神
- 預言の神
など、多彩な力を持つ神です。
ギリシャ神話では、太陽神はもともと〈ヘリオス〉だったのですが、いつの間にか光明神である〈アポロン〉と同一視されるようになりました。
古代ギリシャ人は太陽のことを、天空を翔ける4頭立ての馬車であり、その馬車をヘリオスが引いていると信じていたそうです。
ヴェルサイユ宮殿で見られるアポロン
太陽王ルイ14世が造営させたヴェルサイユ宮殿では、アポロンをモチーフにした絵や像を見ることができます。
上の画像のは〈アポロンの間〉の天井画。よく見ると4頭立ての馬車に乗る人物が描かれていますね。
もちろんヘリオス(アポロン)をモチーフにしているのですが、ここに描かれている人物はルイ14世です。
庭園の噴水にもアポロンを見つけることができます。
バレエのことやギリシャ神話のことがちょっと分かってきたら、何かヴェルサイユ宮殿に行きたくなってきちゃった!
アポロンの泉水とか、見たいっ!
今回は、ルイ14世が〈太陽王〉と呼ばれるようになったいきさつを解説しました。
- 15歳のときにバレエで太陽神〈アポロン〉をルイ14世自らが演じた。
- その背景には、絶対君主制を確立させたいという国王側の思惑があった。
歴史を知ると、ヴェルサイユ宮殿への興味が深まりますね。
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